臨みは哀しくて綺麗な世界を描く事。05年度H/Sをどうぞお楽しみ下さい。


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『VINTAGE 5』

 いつの間にか、叔母様のスカイブルーの衣装が黒く染まっていた。
全てが解りました。
理解せざるを得ない、理解なんてしたくなかった。 けれども・・・
泣く人は居ない。
誰も声を使用しない。
耳が壊れたかのような、無音。

 先ず、飛ぶように抱きつこうと想った。
そしたら彼は、両腕で此の小さな身体を包み込み、顔を俯かせ此の栗毛に埋めて目を伏せる。
私は彼の伸びきった黒髪を手の甲に触れて、長すぎる睫を目の当たりにするのだ。
周囲の視線等気を使う様子も無く、暫く抱き合ってからキスをする。
少しの優しく柔らかいくちづけを。
それから監獄中での身の汚れを洗い、ボロ布のような服を、背の高く凛々しい身なりに似合ったシャツに切り替える。
私たちの真実の幸福が此処から始まるのだ。

 私の甘い思惑は音も無く壊された。

 黒いスーツの祖父が、表情を無くして光の廊下を歩いてやって来る。
祖父の過ぎた背の向こうは、闇の廊下と化した。
祖父が抱きかかえている、縦に長い長方形の木箱。
廊下を闇に染めて祖父がリビングに到着するなり、一族は皆幽霊のようにのろのろと歩き出した。
そして最後の囚人を円になって取り囲んだ。
私は其の様子を、ただ立ち尽くして見ていた。
黒い彼等は、恐ろしいほどの無表情を見せている。
無難に開いた眼、力なく合わせた唇、手を軽く合わせた上品な姿勢。
黒い服が黒い腕に抱かれた箱を囲み、見つめている。
恐ろしい、恐ろしい光景だった。

 事は今から三年前に起こっていたらしい。
其れは後になってから知った事だ。
つまり、私が釈放されたのが5年前だから、VINは私が外の世界に居る間に、此処を去るべくされていたのだ。

 貴方の罪がどんなに重くとも、重すぎる罰はあってはならない。

 もしかすると、私への罰だったのだろうか。




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【2005/09/01 20:23】 『VINTAGE』全7章 | トラックバック(0) | コメント(0) | Page top↑
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